歯周病治療

歯周病で歯を失わないために

生涯ご自身の歯で食事をしていくためには歯周病治療は欠かせません。歯周病により歯を失うのを防ぐために歯周病治療・定期的な歯石除去をお勧めしています。

歯周病治療はセルフケアとプロフェッショナルケアの2つに分けられます。
セルフケアはご自身で行っていただくケアのことで、歯ブラシやフロス、歯間ブラシを用いて柔らかいプラーク汚れを除去します。
プロフェッショナルケアは歯科医院で行うケアのことで、プラークはもちろん、歯の表面に強固に付着し、歯ブラシでは取れなくなってしまった歯石の除去や、表面の着色、ざらつきを磨いて落としていきます。

口は消化器官のはじまりとして外とつながっており、口腔内を無菌化することは不可能です。歯周病菌はほとんどの方のお口の中に存在しており、歯周病菌の数をゼロにすることは難しく、また他の感染症とは異なり、薬を服用すれば口腔内からも体内からも歯周病原菌が完全にいなくなるものではありません。

歯周病によって歯を失うのを防ぐには患者さんの協力が不可欠です。
毎日のセルフケアで口腔内を清潔にしていただき、定期的にプロフェッショナルケアでお口のメインテナンスを続けることにより、歯周病で歯を失うリスクは確実に低くなります。

歯周病治療のご相談は葛飾区お花茶屋駅前徒歩1分の歯科医院エムズエテルナデンタルクリニックにご連絡ください。

歯石取り、歯の着色除去については歯のクリーニングのページをご覧ください。

こんな症状があれば歯周病かも

歯周病は自覚症状が出にくい病気です。もし以下のような症状があれば歯周病かもしれません。早めに歯科医院を受診されることをお勧めします。

こんな症状があれば歯周病かも
  • 歯ぐきが腫れた
  • 歯が浮いたような感じがする
  • 歯ぐきから血や膿が出る
  • 口臭が気になる・口臭を指摘された
  • 歯ぐきが下がって歯が長くなったような気がする
  • 歯と歯の間が広がり、食べ物が詰まるようになった
  • 歯がグラグラする・噛みにくくなった

歯周病について

歯周病とは歯周病菌により歯ぐきが腫れ、あごの骨が壊され、支えの無くなった歯が抜けてしまう病気です。歯周病の進行速度はひとそれぞれ異なりますが、年単位でゆっくり進行する場合が多いため、かなり進行した歯周病になるまで痛みなどの自覚症状はほどんどありません。以下では歯ぐきのことを歯肉、上あごや下あごの骨のことを歯槽骨と記します。

日本人の約8割が歯周病菌に感染しているといわれており、歯を失う原因としては歯周病のほうが虫歯よりも多いです。

歯と歯肉の境目のことを歯肉溝といいますが、歯ブラシやフロス、歯間ブラシなどでお口のが行き届いていないと、歯肉溝にプラーク(歯垢)が溜まってきます。

このプラークの中には多く種類のの歯周病を引き起こす病原菌が存在します。

プラークの段階ではまだ柔らかく歯ブラシなどでご自身で取り除くことが出来ますが、プラークを除去せずに放置していると次第に硬くなり、歯石になってしまいます。

歯石になると歯の表面にしっかりと付着してしまい、歯ブラシなどでは取り除くことが出来なくなってしまいます。この歯石の中や周りにいる歯周病菌が歯周病を進行させてしまう毒素を出し続けるため、歯石は歯科医院で定期的に取り除く必要があります。

歯周病はお口の中だけではなく全身的な病気とも関わりがあることがわかってきています。糖尿病を悪化させること、動脈硬化を誘発し狭心症・心筋梗塞・脳梗塞のリスクが高まること、妊娠中の女性には低体重児出産や早産のリスクが高まることなどがあります。

歯周病の進行

歯周病は歯肉炎よりはじまり、軽度、中等度、重度の歯周炎に分類されます。

健康な状態

歯は歯槽骨にしっかり支えられています。
歯肉は引き締まっていて、健康的な薄いピンク色をしています。歯肉に炎症がため、ブラッシングでは出血しません。
歯周病になる前の方は、この良い状態を維持していくことを目標にします。

歯肉炎

歯と歯肉の間にプラーク(歯垢)がたまり、歯肉に炎症を起こしている状態です。
健康な歯肉に比べて赤く腫れており、歯と歯の間は丸みを帯びて膨らんだようにみえます。
自覚症状はほどんどありませんが、腫れている歯肉はブラッシングなどの軽い刺激で出血します。

ブラッシングをすると血が出るため歯ブラシを控えめに使う方がいらっしゃいますが、軽い力で血が出る歯肉は汚れがたまり炎症を起こしているので、しっかり歯磨きを行いプラークを取り除いていく方が歯肉の状態は良くなります。

歯を支えている歯槽骨の破壊はまだ起こっていないため、プラークや歯石を歯科医院で除去し、適切なブラッシングを行うことにより炎症がおさまり、健康な歯肉に戻すことができます。

軽度の歯周病

歯肉の炎症が進み、歯を支えている歯槽骨の破壊がはじまります。

歯槽骨の破壊に伴い、歯と歯肉の付着がなくなります。これをアタッチメントロスといいます。

付着が無くなるため、歯と歯肉の間に歯周ポケットと呼ばれる汚れのたまりやすい隙間がひろがっていきます

中等度の歯周病

軽度の歯周病の状態からプラークや歯石汚れを放置していると、歯周ポケットの中にさらに歯石がたまり歯槽骨の破壊がすすみます。歯を支えている歯槽骨の破壊の程度により、歯がグラグラして食事がしにくくなります。
歯根が露出することにより冷たいものがしみやすくなったり、腫れた歯肉に温かいものがしみやすくなったりします。

この段階になると歯周ポケット内は菌が繁殖しやすい条件が揃っており、臭いのもととなる代謝物をつくる歯周病菌が増えると口臭の原因にもなります。

歯と歯肉の間から膿が出てくることもあり、これも口臭の原因になります。歯槽膿漏と呼ばれる状態です。

重度の歯周病

歯槽骨がほとんど破壊され歯を支えることが出来なくなった状態です。
歯がグラグラして噛むと痛みがあります。

この状態になると歯を残しておくことが難しくなり、抜歯になる場合がほとんどです。自然に歯が抜けてしまうこともあります。

歯周病のこわいところは一本の歯のみに歯周病が進行するわけではなく、同時に多くの歯が歯周病によって失われる可能性があることです。

妊娠と歯周病

妊娠性歯肉炎 早期低体重児早産

妊娠すると女性ホルモンの増加により、歯肉炎になりやすくなり、もともと歯周病の方はさらに悪化しやすくなります。

妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌が増え、特にエストロゲンという女性ホルモンがP.i菌(Prevotella intermedia)という歯周病原菌を増加させます。

お口の中が清潔に保たれていて、プラークコントロールをしっかりなされている場合は増殖する歯周病菌の数がもともと少ないため、歯肉炎も重症化しにくくなります。

もともと歯周病の方が妊娠した場合には、低体重児および早産の危険度が高くなります。

プロゲステロンというホルモンは炎症の元であるプロスタグランジンを刺激しますが、子宮を収縮させる作用もあります。この効果を利用し、産科では分娩誘発・促進の薬剤としてプロスタグランジンが利用されることがあります。

P.i菌のつくる毒素は、血流を介し、子宮に達すると平滑筋を収縮させるプロスタグランジンが蓄積されて、陣痛を促し、低体重児出産や早産の原因となります。早期低体重児出産とは、妊娠37週未満で2,500グラム以下の新生児を出産してしまう状態を言います。歯周病による早期低体重児出産のリスクは歯周病にかかっていない妊婦さんよりも7倍といわれ、これは喫煙や飲酒よりも高い数値です。

妊娠前より定期的に歯科医院を受診されるのが理想ですが、妊娠後はご自身だけのお体ではありません。妊娠されましたら体調のよろしい時期に歯科も受診されることをお勧めします。その際には母子手帳も一緒にお持ち下さい。

歯周病は口臭の原因になります

口臭は大きく3つに分類されます。
  • 生理的口臭
    唾液の減少・舌苔・食べ物(ニンニク・ニラ・キムチなど)・飲み物(アルコール・コーヒーなど)・喫煙などが原因の誰にでも起こり得る口臭です。
  • 病的口臭
    いろいろな病気が口臭の原因になります。呼吸器系・消化器系・耳鼻咽喉系・肝臓の病気・腎臓の病気・糖尿病などがあり、歯周病もこれに含まれます。
  • 心理的口臭
    実際は口臭はないのに自分には口臭があると思い込んでいることをいいます。

人間の嗅覚は自分のにおいにはすぐに慣れて、においを感じにくくなる性質があります。そのため口臭は自覚症状に乏しく、ご自身で気づかれる方より、ご家族からの指摘により気づかれる方が多いです。

お口のなかに原因があり、においのもとになる物質には硫化水素・メチルメルカプタン(メタンチオールとも呼ばれます)・ジメチルサルファイドがあります。そのなかでも歯周病により増加するのは腐ったタマネギのような臭いといわれるメチルメルカプタンです。

口臭の原因がお口のなかにあれば、治療と生活習慣の改善により解消することができます。

糖尿病と歯周病

糖尿病とは慢性的に血糖値が高くなる病気です。血糖値が高いままでいると血管が傷つき、失明や足の切断、腎不全など様々な合併症を引き起こします。
基本的な治療は血糖値を下げて、良い値に保つことが基本になります。

歯周病は血糖値を高くし、糖尿病の方は歯周病が悪くなりやすいというお互いに悪影響を及ぼしあう関係であることがわかってきています。

糖尿病を悪化させないためにも歯周病に対するケアは必要です。

動脈硬化・狭心症・心筋梗塞・脳梗塞と歯周病

動脈硬化とは血液を運ぶ動脈の内壁が厚くなったり硬くなったりして働きが悪くなっている状態です。ここでは粥状動脈硬化(アテローム性動脈硬化ともいいます。)について述べます。

粥状とはおかゆのようなドロドロとした性状のことを指します。
糖尿病や高血圧など多くの原因が考えられますが、動脈硬化では動脈の内側に粥状の隆起物ができて、血液の通り道が狭くなり、血流が悪くなります。この隆起物を粥腫(アテローム性プラーク)といいます。

粥腫により血液の流れが悪くなり、胸痛・胸部圧迫感が出るのが狭心症です。

粥腫が崩壊・破綻すると血管内部で血栓といられる血液の塊が出来てしまいます。この血栓がより細い血管内部で詰まり、血液の流れを止めてしまいます。
血栓による詰まりが心臓に酸素や栄養を与えている心臓の冠動脈で起きると心筋梗塞となり、心筋が壊死し、脳に酸素や栄養を供給している動脈でおきると脳梗塞となります。

歯周病は動脈硬化を発症しやすくなります。
動脈硬化を起こしている病巣からは歯周病菌が検出されています。歯周病菌が歯肉より血管内に侵入し、歯周病菌そのものや菌がつくる内毒素により血管を傷つける作用や、歯周炎を起こしている組織でつくられる炎症性物質(サイトカイン)が血流にのり、血管に炎症を起こし、動脈硬化を進行させてしまうといわれています。

誤嚥性肺炎と歯周病

食べ物を飲み込んで食道から胃にに運ぶことを嚥下といい、誤って気道に入ってしまうことを誤嚥といいます。

誤嚥性肺炎とは、唾液や食べ物と一緒に細菌を誤って気管や肺に飲み込んでしまうことで発症する肺炎です。

肺や気管に異物が入っても咳をすることにより異物が入ることを防いでいますが、高齢者になるとこの咳反射が弱くなります。免疫力の衰えた高齢者は細菌が肺に入ることにより誤嚥性肺炎を発症しやすくなります。特に、脳梗塞を起こしたことのあるかた、寝たきりの方に多くみられます。

歯周病菌が誤嚥性肺炎を発症した感染部分から検出されており、肺炎の原因の一つとして考えられています。
歯周病の治療により、お口の中の菌数を減らしていけば誤嚥性肺炎の予防に効果的です。